熊本県内で2020年、出産した双子の乳児を遺棄したとして死体遺棄罪に問われたベトナム人元技能実習生(24)の上告審判決が24日、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)で言い渡される。事件の背景には、妊娠や出産を巡って、実習生が不当な扱いを受けている実態がある。
国内に約33万人いる技能実習生には日本の労働関係法令が適用され、妊娠・出産を理由とした帰国や退職の強要といった不利益な取り扱いは禁じられている。
しかし、出入国在留管理庁が昨年行った調査では、回答した実習生の26・5%が、母国の送り出し機関や受け入れ業務を担う監理団体などから、「妊娠したら仕事を辞めてもらう(帰国してもらう)」といった不適切な発言を受けていた。
被告の逮捕直後から支援をしてきた市民団体「コムスタカ―外国人と共に生きる会」(熊本)の中島真一郎代表(68)は「妊娠に悩む実習生は多い。行政は監理団体などに注意喚起するだけでなく、具体的に母子を支援できる態勢を整えるべきだ」と話す。